平成9年3月14日 厚生省発健政第26号

各[都道府県知事、各指定都市市長]殿

厚生事務次官

地方衛生研究所の機能強化について

 地方衛生研究所については、昭和51年9月10日厚生省発衛第173号厚生事務次官通知により現行の設置要綱が示され、同要綱に基づき、これまで都道府県、指定都市等における衛生行政の科学的かつ技術的中核機関として、関係行政機関と緊密な連携の下に、調査研究、試験検査、研修指導及び公衆衛生情報の解析・提供の業務を通じ、公衆衛生の向上に重要な役割を果たしてきているところである。

 今般、地域保健対策については、平成6年7月1日に公布された地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律(平成6年法律第84号)が、本年4月1日より全面施行され、地域保健の体系が抜本的に見直されることとなるが、地方衛生研究所についても、地域保健法(昭和22年法律第101号)第4条に基づき策定された「地域保健対策に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号)(以下「基本指針」という。)の中で、地域における科学的かつ技術的に中核となる機関として再編成し、その専門性を活用した地域保健に関する総合的な調査及び研究を行うとともに、当該地域の地域保健関係者に対する研修を実施することが示されたところである。

 このような状況にかんがみ、基本指針の趣旨を踏まえて、地方衛生研究所設置要綱を別紙のように改正することとしたので、下記事項に十分御留意の上、この要綱に沿って、貴都道府県(市)地方衛生研究所の一層の機能強化を図られるよう格段の配慮をお願いする。

 なお、昭和51年9月10日厚生省発衛第173号本職通知は廃止する。

1 今回の改正は、次のことに重点を置いたものであること。
(1) 地方衛生研究所の調査研究及び研修指導業務について、基本指針において示された専門性を活用した地域保健に関する総合的な調査研究や、当該地域の地域保健関係者に対する研修を踏まえ、必要な見直しを行っていること。また、これらの業務の効果的な実施を図るために、必要に応じ、基本指針で定められた検討協議会で調整等を行うものとしていること。
(2) 地方衛生研究所の試験検査業務について、試験検査に不可欠な標準品及び標準株を確保・提供するなどレファレンスセンターとしての役割を担うとともに、行政検査等の精度管理を行うものとしていること。
(3) 地方衛生研究所の公衆衛生情報等の収集・解析・提供業務について、公衆衛生に関する国、都道府県・指定都市、地方衛生研究所、保健所、市町村のネットワークの中の地方拠点として業務を実施するとともに、得られた情報から地域に密着した公衆衛生に関する新たな課題を発掘し、またその解決のための研究を企画・実施するものとしていること。
2 地方衛生研究所の機能強化を図るため、その業務の実施に必要な技術系職員等の確保を図るとともに、その資質の向上に努めること。
3 事業実施に当たっては、関係行政部局、保健所等との緊密な連携を十分に考慮して行うこと。
4 地方公害(環境)研究所等関係試験研究諸機関との連携に努めること。

地方衛生研究所設置要綱

1 設置の目的

 地方衛生研究所は、地域保健対策を効果的に推進し、公衆衛生の向上及び増進を図るため、都道府県又は指定都市における科学的かつ技術的中核として、関係行政部局、保健所等と緊密な連携の下に、調査研究、試験検査、研修指導及び公衆衛生情報等の収集・解析・提供を行うことを目的とする。

2 業務

2.1 調査研究
2.1.1 地方衛生研究所は、次のような調査研究を行うものとする。
 (1) 疾病予防に関する調査研究
 (2) 環境保健に関する調査研究
 (3) 生活環境施設に関する調査研究
 (4) 食品及び栄養に関する調査研究
 (5) 医薬品等に関する調査研究
 (6) 家庭用品、化学物質等に関する調査研究
 (7) 健康事象に関する疫学的調査研究
 (8) 健康の保持及び増進に関する調査研究
 (9) 地域保健活動の評価に関する調査研究
 (10)試験検査方法に関する調査研究
 (11)その他必要な調査研究
2.1.2  地方衛生研究所は、2.1.1に掲げるもののうち、広域的な調査研究を行う必要のあるものについては、地方衛生研究所相互間又は国や大学の研究機関等関連する他の試験研究機関との協力を強化し、プロジェクト研究、学際的総合研究等を積極的に推進するものとする。
2.1.3  調査研究業務の効果的な実施を図るため、必要に応じ、「地域保健対策に関する基本的な指針」(平成6年厚生省告示第374号)で設置することが定められている検討協議会(以下「検討協議会」という。)において調査研究課題の調整等を行うものとする。
2.2 試験検査
2.2.1 地方衛生研究所は、次のような試験検査を行うものとする。
 (1) 衛生微生物等に関する試験検査
 (2) 衛生動物に関する試験検査
 (3) 水、空気等に関する試験検査
 (4) 廃棄物に関する試験検査
 (5) 食品、食品添加物等に関する試験検査
 (6) 毒物劇物に関する試験検査
 (7) 医薬品等に関する試験検査
 (8) 家庭用品等に関する試験検査
 (9) 温泉に関する試験検査
 (10)放射能に関する試験検査
 (11)病理学的検査
 (12)生理学的検査
 (13)生化学的検査
 (14)毒性学的検査
 (15)その他必要な試験検査

なお、地方衛生研究所は、研究要素の大きい試験検査、広域的な視野を要する試験検査、専門的かつ高度な技術や設備を必要とする試験検査を重点的に行うものとする。
2.2.2 地方衛生研究所は、国立試験研究機関及び他の地方衛生研究所と連携して、試験検査に不可欠な標準品及び標準株を確保・提供するなどレファレンスセンターとしての役割を担うとともに行政検査等の精度管理を行うものとする。
2.3 研修指導
2.3.1 地方衛生研究所は、次のような研修指導を行うものとする。
 (1) 保健所の職員、市町村の衛生関係職員その他地域保健関係者の人材の養成及び資質の向上を目的とした研修指導
 (2) 衛生に関する試験検査機関に対する技術的指導
 (3) その他必要と認められる研修指導及び技術的指導
2.3.2 研修指導業務の効果的な実施を図るために、必要に応じ、検討協議会で研修指導課題の調整等を行うものとする。
2.4 公衆衛生情報等の収集・解析・提供
2.4.1 地方衛生研究所は、次のような情報活動を行うものとする。
 (1) 試験検査の方法等に関する情報の収集・解析
 (2) 公衆衛生に関する情報の収集・解析
 (3) 関係行政部局、市町村及び地域住民等への(1)及び(2)の情報の提供
2.4.2 地方衛生研究所は、公衆衛生に関する国、都道府県・指定都市、地方衛生研究所、保健所、市町村のネットワークの中の地方拠点として、2.4.1に掲げる業務を実施するとともに、得られた情報から地域に密着した公衆衛生に関する新たな課題を発掘し、またその解決のための研究を企画・実施し、これらを関係行政部局等を通じて公衆衛生に関する活動に還元するよう努めるものとする。

3 行政各部局との関係

地方衛生研究所の運営に当たっては、必要に応じ、関係各部局と協議し、相互に密接な連携を保つものとする。

4 業務推進の方策

4.1 2に掲げる業務の実施に必要な技術系職員等の人員の確保を図るとともに、その資質の向上に努めるものとする。
4.2 2に掲げる業務の実施に必要な科学技術の進歩に即応した施設及び設備を備えるものとする。